elosで出勤 & 休日の街乗りも楽しむ日々も落ち着いてくると、やっぱり携帯性は捨てずにもう少しスピードが出たり、オーリーやトリックが出来たり、クルーザーでもオールラウンドなボードが欲しくなってきた。
elosのレビューはこちら。
と言う事で!
様々な海外スケーターのレビューやテストライド動画も漁り、実際に海外の仲間に連絡を取り紹介してもらったのが、LandyachtzのDinghyシリーズ。
特にここ20年程は、世界で最も売れている人気のクルーザーボードとして知られ、とにかく高性能で快適。
ポータブルクルーザーボード=Dinghyと言われるぐらい、携帯性の高いクルーザーボードの代名詞となりつつある。
Landyachtz製のスケートボードは英語圏ではよく “Everything is premium” と表現される程、全てのパーツやコンポーネントの品質が高いとされている。
今回の記事では、そんなDinghyシリーズの中で最もボードが硬くスピード性能が高いボード、turbo king(ターボキング)2020年モデルを購入し半年程乗ったレビュー。
一言で言ったら、持ち運びが楽なサイズのクルーザーでありながらも、かなり万能なスーパー快適クルーザーボードだった。
Landyachtzとは
ボードのレビューの前に、知らない人の為にざっくりとおさらい。
Landyachtz(ランドヤッツ)とは、カナダのスケートボード、バイク(自転車)、スノースケートボードのメーカー。
自転車やスノースケート事業の規模は小さいが、スケートボードではその名前を世界でも知らないスケーターは居ない程有名。
ロングボード(日本ではロンスケと何故か呼ばれる)を主力に、カバーしているボードの用途や種類もかなり幅広く非常にユニーク。
いち早くダウンヒル用ボードの開発や製造をすすめ、ダウンヒル人気の火付け役として知られている。
自社で全ての商品を企画、開発、製造、販売している。
特に彼らが製造するウィールや、トラックはTKPとRKPどちらも非常に高性能な事で有名だ。
ボードの種類:
- クルーザー (Dinghyやその他の種類)
- ロングボード (フリースタイル、ダウンヒル、レース、ダンス)
- ATVと呼ばれるストリートとクルーザーのハイブリッド系オールラウンドボード
- サーフボード (つい最近追加された最新カテゴリー)
スケートボード関連パーツやその他アクセサリー:
- ウィール (クルーザー、ダウンヒル、フリーライド、ストリート)
- トラック (TKP、RKP)
- グローブ (スライド用)
- アパレル (シャツ、パーカー、キャップなど)
- アクセサリー (ベアリング、ツール、プロテクターなど)
Landyachtz公式HP → landyachtz.com
Dinghyとは
Dinghy(ディンギー)とは、Landyachtzクルーザーシリーズの1つの名前。
最も代表的なDinghyのサイズは縦28.5 x 横8インチ。
同じDinghyシリーズの中でも、種類によってボードの形状が全く違い、サイズも若干変化する。だいたいは縦28.5~32インチ、横8~10インチ程。
このシリーズが発売されてから世界で大ヒット。瞬く間にクルーザーの代名詞となり世界にLandyachtzの名が知れ渡ったきっかけとなった。
冒頭でも紹介した通り、世界で今1番熱いクルーザーといったらこれ。
Dinghyの特徴
コンパクトで持ち運び易く、クルージングする場所を選ばない万能ボードといった位置付け。
クルーザーでありながらコンケーヴやウィールフレアがある事で、ノーマルボードと変わらないトリックが出来る。
Dinghyにも様々な種類が存在する
ボードの長さや幅、ウィールベース、用途も違えばスタイルも全く違う。
特にそれぞれのボード形状に合わせて、「Dinghy ○○」と名前がついている。
(この記事で僕がレビューするボードの名前がDinghy turbo kingのように)
例えば、こちらは Dinghy Crown Peak。
Dinghyシリーズで最も代表的なボードの形と28.5x8.0の黄金比。
これは Dinghy BK。
今年の3月に発表されたばかりのニューシェイプ。
このように、他ブランドには絶対無いようなユニークな形状のボードが存在するのもディンギーの大きな特徴と言える。
その年によって販売しているディンギーの種類や、新たに追加されるディンギーの形状も全く異なるので、グラフィックも含め常に進化し続けている。
日本では間違った名称で呼ばれる事がある
これは一体誰が言い出したのか全く不明だが、日本では稀にDinghy(ディンギー)の事を「ディンジー」と間違った名称で呼ぶ人が居る。
ナチュラルに間違えているのか、あえてなのかは不明だが今のところ前者しか見た事がない。
白いシャツという意味の英語、White shirt (ワイトゥ シャートゥ) を日本人が聞き間違え今のYシャツとなったように、単なる聞き間違えなのかスペルから誰かが勝手に読み間違えたのか・・・。
スケートボードショップでさえ間違えている場合も・・・。
(クルーザーパーツの品揃えでは国内ネットショップで1番良い、エクストリームさん・・・いつもお世話になっているけど、ここの誤表記だけは惜しい!そして現在店舗移転の為残念ながらネット通販も停止中。)
( ˘ω˘)スヤァ…
Dinghy turbo kingを構成する各パーツの分析
ランドヤッツ公式サイトや海外ネットショップから輸入すると、こんな感じで送られてくる。
パッケージが日本まで長旅になるパターンが多いので、こうやって外箱段ボールにダメージがあったり穴がある事も多々。
多少中身も保護されているので大抵何も問題は無いが、到着したら必ず中身を確認し、酷いダメージの場合は販売元の補償で対応してもらおう。
(製造時から付いているスクラッチなどの小キズはカウントされない)
ボード
以前のターボキング同様、今回の最新2020年モデルのターボキングもボード底面にはグラスファイバーが採用されている。
真っ黒のグラスファイバー層に金のランドヤッツロゴが最高にカッコいい。
キックテールもしっかりとグラスファイバー層でカバーされている。
通常のカナディアンメープル層にグラスファイバーがプラスされ、ボードが非常に硬く板自体がしならない事がこのボードの最大の特徴だ。
メリット:
- 地面からボード、ボードから足にトラクションがダイレクトに伝わり、ウィールの食い付きや路面状況が把握し易い。
- 素早くキビキビとしたターンやカーブが可能。
- 強度が高くボードが破損し難い。
デメリット:
- ボードがしならない為、荒れた路面走行時のショックを吸収出来ない。
- ボード上でジャンプしながら体重をかけ、しならせる事で加速させるバンブーボードのようなパンピングには不向き。
今回レビューするディンギー・ターボキングを含め、ディンギーシリーズのコンケーブは “マイルド” という事だが、ぱっと見た感じはかなり深く感じる。
実際に足を乗せると、しっかりとしたコンケーブで足がロックされるイメージで感覚的にポジショニングし易く、これがかなり快適なライディングに繋がっている。
クルーザーボードは種類によってコンケーブ、ウィールフレア、ウィールウェルが無い場合が多いが、ターボキングは全て兼ね備えている。
トラック
ランドヤッツが自社で開発するトラックにも種類はあるが、ターボキングにセットされているのはPolar Bear(ポーラーベアー) 105mmというトラック。
(Bear truckというのはランドヤッツが開発するトラックのブランド名)
因みにポーラーベアートラックは以下のサイズ別展開をしている。
- 85mm
- 105mm
- 130mm
- 155mm
- 180mm
105はアスクル幅も短く、かなり素早くキビキビとした俊敏な動きが出来るようになるトラック。
進行方向に向かって左右への安定性は少なくなるが、街乗りで障害物を避けるにはこれぐらいが丁度良い。
このポーラーベアートラック、実は普通のTKPには無い特殊性が1つある。
それは、TKPなのにボードサイドブッシュにフルサイズがフィットするという事。
TKPなのにRKPのようにフルサイズブッシュがセット出来るという事は、他のTKPトラックよりも深くターン出来てブッシュの性能を更に発揮するという事。
(動画はランドヤッツ公式HPのポーラーベアー紹介動画)
ミニクルーザーには最適な105mmと聞くと非常に短く感じるが、幅があるウィールをクルーザーに取り付ける際には、アスクル幅を短めにしないとウィールがボードよりも大きく突き出してしまう。
そういう意味では、ターボキングに組まれているウィールとは相性抜群。
ウィール幅があるので、トラックのアスクル幅が短くても走行中に不安定な感じは一切しない。
穴が8ホールあるので、ライディングスタイルやボード、好みに合わせてウィールベースを自分で変更する事が出来る。
ベースプレートアングルやピヴォット角度は公式には公開されていないが、一部の海外メディアではピヴォット角度が45度との噂。
45度というのは90度の丁度半分。スケートボードのリーン性能とターン性能が丁度ハーフハーフになる角度。
ブッシュ
ディンギー・ターボキングのベアートラックには、ボードサイドにバレルブッシュ、ロードサイドにコーンブッシュがセットされている。
どちらもデュロメーター90aのブッシュ。
このランドヤッツのブッシュたち、実はリップタイドなど他メーカーのブッシュと比べると特殊な高さ。
バレルブッシュは他メーカーのフルサイズよりも若干低く、コーンブッシュは他メーカーのショートストリートサイズよりも若干高い。
2つのブッシュのトータルの高さは同じぐらいになっているが、それぞれ特殊なサイズ感なのでブッシュ交換の際はロードサイドのブッシュを間違わないよう注意。
だからと言って何か特殊な効果がある訳でも無いが、強いて言えばこの標準で付いてくるショートストリートコーンには立ちがある。
(一般的なショートストリートコーンブッシュは、この立ちが無い。)
この立ち部分がトラックのブッシュシートに凄くフィットするので気持ち良く、癖の無いミディアムブッシュとなっている。
ウィール
ディンギーの種類によっては同じウィールがセットされているが、最新モデルのターボキングには Plow Kingがセットされている。
スペック:
- Diameter: 72mm
- Durometer: 78a
- Width: 62mm
- Contact Patch: 60mm
- Lip Profile: Sharp
- Core Placement: Offset
- Wheel Surface: Stoneground
コンタクトパッチが60mm前後あるのは国内で販売されているウィールでも一部しか無い。
プロスケーター森田貴宏さんのブランド、W.P.S.Iからつい最近発売されたハードコアソフトスライドウィール 直径72mm 78a スクエアリップ 幅56mm CP54mmが、plow kingに1番近い。
plow kingはとにかく快適!
何が快適かと言うと、72mmという大きな経が小さな段差や路面のクラックなどを全て吸収&乗り越えてくれる。
多少荒れた路面でも全く問題なく、60mmというCP(コンタクトパッチ)があるので、一度出した速度も低下しにくいクルージングには快適なグリッピーウィールとなっている。
CPが広いウィールのメリットや実際の使用感詳細は、別のボードで使用した際のレビュー記事をチェック!
ベアリング
ベアリングもランドヤッツオリジナル。
Bear Spaceball bearings というグリスのビルトインベアリングだ。
ビルトインベアリングなのに、ウィールを外しベアリングを見ると黒いワッシャーが組まれている事に気付いた。
あれ・・・?これは何かのミス?
と言うのも、本来この形のベアリングはワッシャーやスペーサーが必要ない。
不思議に思ったので、ランドヤッツに直接問い合わせてみた記事がこちら。
上記の記事でも記載している通り、スペースボールベアリングを使用するなら不要との事。
シールドも標準的でしっかりとシーリング出来るフィット感。
グリスもしっかりと注入されていて作りも非常に綺麗なベアリング。
最高峰とは呼び難いが、グリスベアリングを使うスケーター達の間では比較的高性能だと好評だ。
(海外の仲間内&海外メディア調べ)
メンテナンスが何年も必要が無い、オイルベアリングに比べると中低速の伸びが良く1度のプッシュ距離が延びるといったメリットがあるが、どんな種類のグリスベアリングでも使い続けて馴染ませないと100%の性能は発揮できない。
グリスが馴染むまではある程度走行距離を稼ぐ必要はある。
ベアリングを別のものに交換せず、ターボキング2020年モデルに数か月乗り続けたスケーターがYoutubeで動画を出しているので、滑り具合などはこちらを確認してみて欲しい。
彼曰く、「馴染んでくると非常にスピードも速くスムーズで、他の標準的な性能のグリスベアリングよりも性能が良い。」との事。
動画を見る限りでは、馴染んだ後のスペースボールズベアリングはかなり快適に見える。
ライザーパッド
それぞれ厚みは違うものの、ほとんどのディンギーシリーズで標準で組まれている。
ターボキング2020年モデルでは、前後トラックに6mmのベアー製ハードライザーパッドが組まれている。
デザイン、肉抜きされた軽さ、ビルトクオリティ、全てにおいて文句無しのライザーパッド。
全てのディンギーはストリートボードよりも大きなソフトウィールが装備されているので、ウィールバイトを回避する目的がある。
また、ボードの高さが高くなるとリーンする際により多くのリバレッジをかける事が出来る為、より深いターンを可能にし、ブッシュに負担をかける事でベアートラックブッシュ性能を引き出す。
特にベアートラックは通常のTKPと違いボードサイドにフルサイズブッシュがフィットする特殊トラックなので、ブッシュ性能を引き出す意味では非常にライザーパッドと相性が良い。
ちょっとした高さの調整だが、これが絶妙にウィールバイトを防ぎ走行する際のカービングを快適にする。
ディンギー・ターボキングに半年乗り続け分かった事まとめ
特徴をざっくりまとめると・・・
- スケートボードバッグに付ければ快適に持ち運べる重さとサイズ
- 素早くキビキビしたターンが出来るトラックで街乗りに最適
- ウィールCP60mmは、1度スピードを出せば速度が低下し難く快適
- ウィールがかなりグリッピーで、短いトラック幅と合わさりエッジに重心をかけやすい
- フルサイズブッシュが使える特殊トラックにより、TKPなのに非常に深いターンが出来る
通勤、近所までのお出かけ、出先に持っていき街乗りと、持ち運び続け乗り続けて何故このボードがディンギーの中でターボキングと呼ばれるかが分かった。
1度滑り出してスピードが出ると、滑りの伸びがとにかく半端無くパンピングし易い。
全てのパーツのビルトクオリティが良いのはもちろん、理由は主にPlow kingというジャイアントウィールのデュロメーターとCPにある。
CPが60mmもあるウィールを使う事自体はじめてだったので、1プッシュ目で最大限の速度まで行かないという重さを最初は感じるが、慣れると全く気にならない。
特にソフトなデュロメーターウィールになればなる程、CPが広い事で受ける恩恵が大きい。
数回プッシュした後の伸びが気持ち良く快適過ぎるので、小さく幅の無いウィールにはもう戻れない・・・と言うのが正直なところ。
コンケーブやキックテールもしっかりとあるので、オーリーやフリップ系トリックもレギュラーボード同様に問題無い。
そもそもクルーザーなのにトリックが出来るというのが、昔からランドヤッツディンギーの特徴の1つである。
ウィールの重さが気になったり、速度は出なくても加速を重視したい人、よりトリック用にしたい人は同じくランドヤッツから出ている Hawgsウィールシリーズの、Fatty hawgsが万能なのでおすすめしたい。
ボードにグラスファイバーが使用され非常に硬いボードなので、必然的に足回りも固めがマッチする。
緩いセットアップが好みの人には合わないかも知れないが、慣れれば非常に快適なので是非日々のクルージングのオプションとして検討する際、参考にしてみて欲しい。