去年、いつもお世話になっているクラウドファンディングサイトをサーフしていたら、ミニクルーザーボードの “elos(イロス)” が新しい軽量版を出しているではないかっ!
何年か前に初代elosがクラウドファンディングサイトでサポートを募集していた時、凄い気になって購入を迷っていたが、気が付いたら募集期間が終了していた悲しい過去・・・。
そんな記憶から、今回は迷わず購入!(あれからこんな順調に改善され製品化されてたんですね!)
という事で、旧型の初代イロスとの違いなども交えながら2019年から発売されている新型軽量版、elos lightweight (イロスライトウェイト)のレビューとなります。
実際に僕が通勤や近くのコンビニなどに行く際に使い、日々乗ってみて解った事などをまとめました。
旧型と新型の違い
まずはelos lightweightのレビューの前に、知らない方の為に前作との違いをここでおさらい。
2016年から発売されているelosは旧型で、2019年以降は新型となっている。
※ elosの公式ページでは前作のシリーズは、elos classic(イロスクラシック)と呼ばれているので、この記事でも前作シリーズは以下イロスクラシックと呼びます。
重さ
まずは重さ。新シリーズはその名の通り、前作よりも更に軽量化されてます。
elos classicが約2kg、elos lightweightが約1.85kg。
ウィールのデュロメーター(硬さ)とデザイン
ウィールの直径はどちらのシリーズも72mm。
しかし硬さはelos classicが80Aで、elos lightweightが76A。
ここ10年程のクルーザーボード需要増加に伴い、クルーザーウィールのデュロメーターも74~78Aレンジが世界で人気。
従来のような80~86Aといった硬さよりも、更に柔らかく静かに快適に街乗りが出来る、今流行のラインへと進化している。
見た目や作りからして、ウィールのコア部分がlightweightの方が大きく軽量化されており、このウィールの差も最終的な軽さに貢献している。
色味も若干違う。
classicのウィールがソリッドな黒に対して、lightweightのウィールは透明感があるのでパッと見はグレーといった感じ。
開封の義
ピンポーンと荷物が届き、箱を受け取った瞬間にまずビックリしたのがこの軽さ。
「え、これ本当にスケートボード入ってるの?」という箱の小ささ。
開けると本体は専用のバッグに入った状態。
ご丁寧にダンボールにも、スタンスの説明と乗り方の説明が記載されている。
小さなブックレットには、
- 基本的な乗り方やスタンス
- カーブの仕方とトラック調整方法
- 使用する為のヒント
- 1年保証の登録サポート
などの詳細が記載されている。
本体と・・・
数枚のポストカードやステッカーなども同封。
これが1.85kgの軽さか~、と片手で簡単に持てるお手軽さを確認。
ほうほう、これが噂のドックするシステムね。
(フロントトラックに付いている、ひっかける為の爪パーツ)
実際にドックさせてみると、こんな感じ。
このパーツは簡単に取り外せるので、使わなければ取り外しても問題はない。
また、elosのトラックは軽量化の為、シャフト部分が中空構造となっている。
キングピンの周囲部分にも肉抜きされた穴がちらほら、独自の形状がユニーク。
そしてウィールがこちら。
中央部分が大きく肉抜きされた事で、イロスクラシックと比べると大分軽量化されているのが解る。
内側のすり鉢にelosのロゴ、中央のコアプラスチック部分に “Effortless Lifestyle Of Skateboarding”の文字。(ELOSという名前の由来)
因みに旧式のelos classicのウィールはこんな感じだった。
より軽く、よりシンプルなデザイン、そしてより柔らかくなった新型の方が断然かっこいい。
前後のトラックには夜間にライドしても反射するよう、反射材の代わりとなるステッカーが標準装備されている。
両トラック共にキングピンにシールが貼られていて、「ここを緩めると簡単に曲がるよ」といったメッセージが非常に初心者にも丁寧で解りやすい。
(こうしたちょっとした気遣いが嬉しいよね?)
公式ページの反射イメージ画像がこちら。
elos公式ページより
純正ベアリングはこのような感じ。
“長年取引のある場所に依頼した信頼出来るパーツ” と、どこかの海外クラウドファンディングサイトで公式が解説していたのを読んだが、見る限り一般的な608規格の7ボール内蔵ベアリング。
回りも静かでスムーズ。
片面ラバーシールドで取り外しも簡単。メンテナンスもし易そうだ。
ただ僕はニンジャベアリングが好きなので、数回乗った後にベアリングを交換した。
ベアリングもいきなり高額な物は必要無いし、星の数程あるベアリングの中からどれを選べば良いのか分からない、といった人には是非おすすめ!
信頼出来る安心の日本製で、何より凄く静かでスムーズかつABEC7なのに、価格も安くコスパ抜群。
実際に持ち運びながら3ヶ月乗ってみた印象
ハンドルが凄い便利
通常のスケートボードを長時間持ち続けた事は無いものの、このハンドルがボードの左右両方にある事により、持ち運びが劇的に楽。
ウィールが非常に軽量、しかし肉抜きにより衝撃吸収性が低い
ウィールが兎に角軽い!持ち運びや重さだけを考えると非常に優れたウィールだと思う。
ただし!コア部分が肉抜きされていないウィールに比べると、段差にぶつかったり飛び越えた際の衝撃吸収性があまり良くない。
76Aのデュロメーターと言っても、外側のウレタン部分だけが柔らかいのでその点は要注意。
ゆったりと待ち乗りする為に作られたので当然の事なんだけど、もう少しスピードを出したり路面の状態にも左右されないようにするなら、ウィールは好みに合わせて変えるとベター。
elos海外公式ページのQ&Aでは、ウィールを交換する際は65~75mmのウィールが1番快適に乗れるよう設計されている、との事。
ウィールが小さ過ぎると路面にボードのハンドル辺りが擦れてぶつかり、大きすぎるとウィールバイトを起こす可能性があるのでライザーパッドやアングルライザーパッドで調整しよう。
足回りのセッティング次第でシャープなターンが可能
初心者ライダーが怪我をしないよう、elosは前後のトラックのキングピンをかなり硬く締めた状態で届く。
前後トラックのキングピンを緩めれば緩める程に不安定になる分、重心を傾けた際により深く曲がるようになる。
elosに採用されているRKP(リバースキングピン)トラックは、一般的なストリート用スケートボードに用いられるTKP(トラディッショナルキングピン)トラックと比べると、より深いカービングが可能。
(キングピンを緩めると、よく曲がるトラックという事です。)
因みに、elos純正トラックのピボット角度は50度。
一般的にゆったりとしたカービングやクルージングに好まれる、良く曲がる為の角度。
(よりリーンやスピードを求める場合は、より浅い40~35度トラックが使用される)
直進性とカービング性能は常にトレードオフ。
凄く緩く簡単にカーブ出来る程足回りを柔らかくするとスピードが出難くパンピングし難くなるので、好みの硬さに調整したり、アングルライザーでピボット角度を調整しよう。
スピードを出しても安定させたい場合は硬めに、ゆったり深いカービングや待ち乗りを楽しむなら緩めに。
ブッシュはソフトなコーン/バレルセッティング
前後のトラックには、どちらもオーソドックスなコーン・バレルセッティング。
カービング性能と安定性、どちらの性能もバランスが1番良いとされるセッティングだ。
トップにショートサイズのコーンブッシュ、ボトムにノーマルサイズのバレル。
手で触った感じは、80~85Aぐらいのデュロメーターかな?と思うぐらいソフト。
後にも記載するが、elosに使われているリバースキングピンタイプのトラックは、ブッシュにより負担がかかる事でブッシュ性能を引き出し易い特徴がある。
つまり乗り心地を最適化するには、自分の体重とライディングスタイルに合わせてブッシュを変更する事が1番の変化をもたらす。
左右のバランスは簡単だけど、前後のバランスには慣れが必要
世界最軽量クラスのクルーザーボードに対してかなり広めの180mmハンガー幅トラックを用いる事で、進行方向を正面とした際の左右のバランスは凄い安定感がある。
180mmハンガー幅のトラックは世界的に最も人気な幅で、一般的なロングボードなどに使用される幅。
凄い小さなクルーザーボードに、通常よりもかなり広めなトラックという組み合わせになる。
左右の安定感はあっても、18インチというボードの短さ故に前後の安定性は低い。
因みにミニクルーザーボードとして有名なペニーボードは22インチ。(elosの方が約10cm短い)
プッシュ(ボードに片足を乗せ、もう片方の足で蹴り滑る動作)をする際やスピードが出てくると、路面の凹凸や重心移動などは慣れが不可欠だと感じる。
段差に弱い
いくらウィールが比較的大きめで柔らかいと言っても、デッキの長さ自体やWB(ウィールベース)が短い為、当然段差には極端に弱い。
1つ前の項目でも述べた通り、前後のバランス調整には慣れが必要で、ちょっとした段差や路面の凹凸でバランスを崩しやすい。
付属のブックレットや公式ページでも、障害物の上を乗り越えたり悪路は乗らないよう注意書されている。
3ヶ月乗り続けて、ようやくちょっとした段差を乗り越えたり、降りてもバランスが崩れないようになった。
それまでは転びそうになった事が多々ある。
危険なので絶対に障害物は避けて滑ろう。
重心を置く場所が特殊
付属のブックレットや、海外公式ページからelosを購入すると定期的に送られてくるチュートリアルメールにも記載されているが、elosは丁度ハンドル部分にウェイトを置く事で1番効率良くカーブする。
僕はレギュラースタンスなので、左足が前で右足が後ろ。
左にカーブする時は左足のかかとに、右にカーブする時は右足のつま先に1番重心が乗るイメージ。
この卵型ボードの1番幅の広く外に広がっている部分を倒す事が1番重要であり、他の種類のボードとは全く異なる部分である。
慣れないと、ついつい通常のボードのようにボード前後にウェイトを置きがちだが、これではelosは乗り辛い。
必ず左右のハンドル部分に重心移動するように心掛ける事で、より硬い足回りにセッティングした時もスピードを出しながらカーブする事へ繋がり、非常にパンピングもし易くなる。
日本の道路の路面は、場所によって乗り易さが全く異なる
これはelosに関してと言うよりも、日本の道路事情。
海外ではメインストリートと家の間にサイドウォークが綺麗に舗装され、だいたい凄いスムーズなライドが出来る場所が多い。
(高校生活を海外で過ごした僕には、より強く感じる)
けれど日本は場所によって路面はかなり荒れているので、純正のelos lightweightのままだと乗り難い場所も。
路面が荒れていれば荒れている程、当然プッシュは伸びないし滑っていてもすぐに止まる。
(だからこそ僕の今のelosはパンピング仕様に改造しているのだが)
じゃぁ何を変えれば良いの?と言うと、ブッシュ、ウィール、トラック。
ただし、初心者の人にトラック選びは難しく純正トラックよりも重くなる事が殆どなので、自分の体重と好みのライディングスタイルに合わせてブッシュとウィールを変更すると良いです。
この2つを変えるだけで、全く違う乗り心地になります。
elosに採用されているRKP(リバースキングピン)トラックは、一般的なストリート用スケートボードに用いられるTKP(トラディッショナルキングピン)トラックと比べると、ブッシュの素材、大きさ、形状や硬さに大きく左右されるトラックです。
構造的な違いや物理的な理由を書くと長くなるので省きますが、RKPの方がブッシュに大きな負荷がかかる為、ブッシュ本来の性能を引き出し易いのです。
RKPにとってブッシュやワッシャーの種類は特に重要なので、また別の記事に重要性をまとめたいと思います。
ブッシュ交換やウィール交換についてはこちらの関連記事からどうぞ。
elos lightweightのまとめ
オリジナルコンセプトはゆったりと街乗りする為にデザインされたミニクルーザーだけど、セッティング次第では更にカービー & サーフィーなボードにも、より高速クルージング & 簡単にパンピング仕様にも出来る。
(※ 現時点での僕のelosは、ペニーボードのようにサーフィーでガンガンパンピング出来るミニクルーザーになっている。)
ただし、小ささ故にライディングには必ず慣れが必要。
また、軽量が故に障害物や段差に弱いので、より安定感を出したい人はトラックを重めに、ウィールを太めに調整すると安定感が増す。
純正のままでは、荒れた路面の走行など様々な環境に適応するのは難しい部分もあるので、パーツを自分のライフスタイルに合わせて交換する事が前提なのだと思う。
通勤や通学に使用する場合は、自分が乗る予定の場所やコースなどを予め確認しておいても損は無いでしょう。
そうそう、結構失敗している人が居るようなので最後にリマインドを。
ネットやアマゾンで検索し、日本の代理店やアマゾンで新型と間違えて旧型を購入してしまっている人が見受けられます。
elos lightweightが日本の代理店でも取り扱いが始まり、尚且つアマゾンでの国内販売も開始されたのはつい最近の事。
(僕が購入した数ヶ月前はまだ開始されていませんでした)
リンクを貼っておくので、購入を検討している方は是非チェックしてみて下さい。
因みに僕は、英語版elos公式から新型が出てすぐに購入し輸入しました。
アマゾンで品薄状態が続き入荷待ちが長引くようだったら、直接海外サイトからの購入するのも良いでしょう。
Elos公式ページを日本語版に切り替えたページはこちら。
https://nihon.elosskateboards.com/
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