新品のコンプリートを購入してスケートしていると、体重をかけたり踏み込む際、キュッキュと鳴ったりギシギシと音が鳴る時があります。
特に走行に問題は無いのに、その異音はどこから来ているのか?
大抵の場合はピボットカップかブッシュが原因。
この記事では、1970年代から現代までずっと使われ続けてきている、ピボットの異音を消す方法を3通り紹介します。
この3通りだけ覚えておけば、身近にある物を使って誰でも簡単に異音を消し、静かでトラックの動きもスムーズにする事が出来るようになります。
ブッシュとトラックが擦れて出る異音を消す方法は、こちらの記事にまとめてあります。
ピボットカップについての基礎知識
ピボットカップの役割
本題に入る前に、ピボットカップがトラックや走行にどう影響するのかを確認します。
(既にご存知の方は、次の項目へどうぞ。)
ピボットカップ、またはピボットブッシングは、トラックが左右に傾き切れる際に軸の受けとなる部分です。
ピボットカップがある事により反発力と抵抗力を生み、サーフィーでスムーズなトラックの動きを可能にしています。
このピボットカップによる摩擦が起きないと、重心移動した際に安定した動きにはなりません。
例えばこちらの画像。
この記事のサムネイルとしても使用し、冒頭でも貼った画像です。
キングピンをゆるめてハンガー部分を外すと、このようにハンガー部分の先端がピボットカップにささっている事が解ります。
こちらの画像で言えば、ベースプレート右上の方にある小さな穴のような窪み。
黒いベースプレートに黒いピボットカップなので見難いですが、ベースプレートの先端の穴に小さなカップが入っていて、トラックとベースプレートの間のクッションとして機能しています。
反発力、抵抗力、摩擦によって、トラックが本来設計された通りの角度や力で可動し、1番効率良いカービングを実現しているのです。
ピボットカップの種類
トップ & ボトムブッシュと同じように、ピボットカップにも硬さを示すデュロメーターがあります。
たとえば96aや100aなど、ブッシュ同様数値が高い程硬くなります。
自分が目指すフィーリングのボードがサーフィーで柔らかいクルージングなら、ピボットカップもある程度柔らかめのものを。
ストリートやパークなどで、タイトなトラックでトリックやライドをする場合はピボットカップも硬めを選びましょう。
また、大きさもまちまちです。
ピボットカップが予めトラックに互換性があるよう作られているものもあります。
例えば “○○トラック用ピボット”、”○○と互換性” などと表記され販売されている場合もあるので、自分のトラックに最適な大きさか、サイズにも注意しましょう。
適したサイズ感のピボットを使用しないとトラックの性能が十分に発揮されず、結果的に不安定な乗り心地になってしまいます。
キュッキュ、ギシギシ音を消す3つの方法
さて、ここからが本記事の本題です。
どの方法で使う材料も生活の中で身近にあるものばかりなので、好みで選んで頂いて大丈夫です!
鉛筆の粉
まずは鉛筆の粉。
鉛筆の芯を削って出た削りくずを、ピボットカップの中にぱらぱらと入れればOK。
海外のスケーターだと、粉をハンガーの突起部分にすり込む人も居ますね。
ピボットカップの中に粉を入れる場合、1ヵ所にぼてっとまとまらないよう散りばめて入れましょう。
せっけんの削りくず
僕が毎回お世話になる方法がこれです。
カッターなどの刃物で、せっけんをうす~く小さくスライス。
小さく削られた削りくずを鉛筆の粉同様に、ぱらぱらと入れるだけです。
せっけんの場合はカットする際に大きさに気をつけないと、大きな塊を入れては逆効果となってしまいます。
小さくなっても構わないので、薄くスライスするように気をつけましょう。
キャンドルワックス
キャンドルワックスもせっけん同様に、薄くスライスしてぱらぱらとピボットカップに入れるだけ。
たまにロウソクを火であぶって垂らす人が居るのですが、大きな塊になってしまうとトラックの動きの邪魔になってしまいます。
カッターなどの刃物で薄くスライスする方が無難でしょう。
ピボットカップに絶対に使ってはいけない物
折角なので、逆に絶対に使ってはいけないものも紹介。
日本ではあまりスケートボードの文化が普及していないせいか、意外にこの失敗をしている人、知らない人が結構多いです。
自分が日々メンテナンスで使用しているものが、実は逆に性能を殺していないか是非チェックしてみて下さい。
オイル類
まずはオイル全般。
海外でも昔からオイルとピボットは相性が最悪と、タブーとされてきた理由があります。
オイルを使ってしまう場合、ピボットカップの適度な摩擦が得られず本来のトラックの性能が失われます。(トラックはオイルが注入される事を想定して作られてません)
つまりピボットカップの性能と役割である、ライダーがボードやトラックをコントロールする為の適度な摩擦感覚を消してしまうんですね。
サーフィーだったりバウンシーなトラックのフィーリングは勿論、ウィールやブッシュによる部分もありますが、どこを支点としてトラックが切れているかと言うとこのピボットカップ。
コンパスでいったら、円を描く際に中心にくる点。
そんな支点が不安定だったり、滑り過ぎてしまったら逆にコントロールがし難いボードにもなる可能性が十分にあります。
グリス類
これも、海外では昔からタブーとされるメンテナンス方法の1つ。
ラバー用グリスなんて品も市販で存在しているので、一見すると使用する種類を選べば相性も良さそうに見えます。
・・・がっ!スケートボードのピボットカップの多くは、ブッシュ同様にウレタンが使用されている場合が多く、化学反応を起こしやすいので、基本的にはNGです。
一部のハードピボットカップの場合、材質にハードプラスチックが使用されていますが、それでも時間の経過と共に性質が変化しやすいグリスは不向きといえます。
シリコングリスなど、ブッシュを傷めないグリスも基本NG
だったらブッシュを傷めないグリスなら良いじゃないか、なんて言ったりする人も極稀に居ます。
確かに個人の好みの部分ではありますが、既に解説している通りそもそもピボットカップの摩擦が無ければ無い程良い訳ではありません。
極限まで摩擦を無くせばスムーズになるでしょうが、その分トゥウィッチーなセットアップをした時のように不安定になったり、ボードにリバレッジをかけてカービングやパンピングをした際のリバウンド性能が失われます。
ピボットカップやロードサイド&ボードサイドブッシング全体にがんがんシリコングリススプレーをするような海外Youtuberも稀に見かけますが、ほぼほぼ初心者スケーターしかそんな事しません。
海外の掲示板なんかでも、そうした初心者スケーターはピボットカップの役割や重要性を理解していないと揶揄されている事もしばしば。
もし「人の体重程度でそんな変わる訳ないじゃないか」とか、「ツルツル滑る方が良いに決まってる」といった意見を見かけたら間違いなく精密なコントロールが必要とするスケートを経験した事がない初心者だと思います。
ひたすら平地を何のトリックもせず、ゆっくり滑るスケーターならばそれでも問題は無いかも知れませんが・・・。
・・・と、まぁあたかも僕が上級者かのような書き方をしましたが僕はへっぽこスケーターで、こうした事を教えてくれたのは僕がスケートボードという物に初めて出会った単身海外生活時にお世話になったアメリカ & カナダ人スケーター達。
毎日通勤とか通学でスケートしてた人達ですね。
(´・ω・`)
ピボットも消耗品
ウィールやブッシュ同様ピボットも消耗品。
スケートボードに乗り続ければ必ず交換時期が来ます。
今回のようなメンテナンスは、あくまでもピボットカップを長持ちさせ異音を消す方法です。
逆に持ちが悪いとすぐに割れて、走行に支障が出る場合も。
走行中に違和感があったらすぐに確認を
静かだったピボットカップが再度ギーギーと変な音を出し始めたら、ピボットカップが割れたりして壊れている可能性が高いです。
ハンガー部分を外してみて必ず確認してみましょう。
交換が必要だったらすぐに交換をした方が良いです。
走行も不安定で危険になり、ハンバーパーツを痛めてしまう原因にもなってしまいます。
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