以前イロス(elos light weight)のレビュー記事で、「RKPトラックは、ブッシュとウィールの2つを変えるだけで全く違う乗り心地になりますよ。」とおすすめしました。
こちらの記事がウィール交換編。
ウィールのコンタクトパッチが、転がり抵抗、スピード、パンピング性能にどう影響するのかなども交えて解説しました。
そして!!今回は残されたブッシュ交換編となります。
結論から言うと、今回のブッシュ交換でパンピングが劇的にし易くなりました。
RKPトラック(リバースキングピントラック)はTKPトラック(トラディッショナルキングピントラック)に比べると、ブッシュにより大きな負担がかかる為、ブッシュ性能によってトラック及びボード自体の性能や乗り心地が大きく変化。
そんなRKPトラックでパンピングやカービングなど自分の理想のライディングに近づけるには、ブッシュの・・・
- 素材 (特性など)
- 体重と好みのライディングスタイルに合った硬さ
- ブッシュセットアップの組み合わせ
がとっても重要。
elosの純正ブッシュ
純正ブッシュの硬さ
第2世代elosであるlight weightシリーズでトラックに採用された純正の黒いブッシュは、カービング用の比較的柔らか目のコーンとバレルのセッティング。
触ってぐっと握った感じの硬さは80A前後のイメージ。
キングピンとブッシュが擦れる部分にはグリスのようなものが塗られている。
純正ブッシュのセッティング
トップブッシュがショートストリートコーン。
元からの形なのか、ワッシャーの跡がついてへこんだのか、ワッシャーを外すとトップ部分がステップドシェイプになっていた。
ボトムブッシュがストリートバレルになっている。
前後のトラック共に同じ、コーン・バレルセッティング。
サーフィーな乗り心地の中に安定感をプラスした、クルーザートラックのブッシュセッティングとしては最もオーソドックスなセッティングだ。
短い距離の待ち乗りだけなら純正でも問題ない
数ヶ月乗った感じではゆったりとした待ち乗りで、長い距離をプッシュする事がないのであれば純正のままキングピンの締め具合だけの調整で十分。
障害物や人を避けれる程度にトラックを柔らかくカービーにした方が、待ち乗り用途に適しているからだ。(素早くカーブ出来るから)
ただし、ガンガンパンプ(パンピング)してスケートしようと思うと、純正ブッシュの反発性では限界がある。
そもそもelos自体が長距離プッシュをする為に作られたものじゃない。
「だったらもう少しWB(ウィールベース)が長いボードでスケートすれば良いじゃないか」、と言われればそれまでなのだが・・・。
そこは、小さくてもガンガンパンプしてパンピングだけで進む楽しさを求める、ただのロマンである。
(単純にカスタムが楽しい・・・( ˘ω˘)スヤァ…)
RIPTIDEのブッシュに交換
抜群の反発性を誇り、形状や素材のバリエーションが豊富な事で世界中のスケーターから認知されている、RIPTIDE(リップタイド)のブッシュが好きなので今回もお世話に。
クルーザーボードやロングボードで平地やダウンヒルをスケートしているが、どのメーカーのブッシュにしたら良いか分からない人は迷わずRIPTIDEを選ぶべし。
トリック用スケートボードを乗るスケーターでさえ、「ハードなインナーコアがついたボーンズ製ハードブッシュよりも良い」、と愛用者が居るぐらいだ。
RIPTIDEブッシュの種類
RIPTIDEのブッシュは以下の3種類:
- APS(Animated Polymer System)
- WFB(World’s Fastest Bushings)
- RTS KRANK(クランク)
よくLivelyと海外で評価される通り、ハイリバウンドできびきびと活発、程よいリーンとコントロールのバランスが売りのAPS。
早いトランジションや深いリーンに対応が出来るスケート上級者向けに開発され、表面には独自の潤滑剤、ローリバウンドでフリクションが非常に少なく、ブッシュにコントロールされるのではなくブッシュを完全に支配したい人向けのWFB。
キングピンナットの締め具合でデュロメーターが変化する特殊な最新素材が使用され、圧縮された際に最も反発性が高いブッシュのRTS KRANK。
(各種類の詳しい性能などは、またどこか別の記事で・・・。)
独自の反発力を使ってパンピング時の加速を増すべく、今回はリップライドの最新高級ブッシュKRANKシリーズのブッシュをチョイス。
最も反発性のある、KRANKシリーズ
RIPTIDEでは、「身長が低かったり体重が軽い人、子供が使用するなら85A以下のデュロメーター。63kg以上の人は85Aから上のデュロメーターにしてね」とおおよその体重目安を謳っている。
RIPTIDE製のブッシュはAPSとWFBは、他メーカーデュロメーターよりも同じ数値表記でも若干(3A程度と言われている)柔らかい。このKRANKシリーズは他メーカーの同デュロメーターと同等の硬さだ。
APSやWFBはキングピンナットの締め具合でデュロメーターにほとんど変化が無いが、RTS KRANKだけはキングピンナットの締め具合で柔らかいデュロメーターからカッチカチのデュロメーターまで変化し、調整が可能。
高圧縮下の環境で、最も反発性能がある特殊素材になっている。
交換するのはボトムブッシュのみ
今回、フロントとリアの両トラック共に、ブッシュを交換するのはボトムブッシュのみ。
理由はRKPトラックの構造上、ライダーの体重やボードのウェイトのほとんどがボトムブッシュに乗るから。
つまりボトムブッシュの性能やセッティングがRKPトラック性能に1番影響する。(トラック高さや角度はまた別)
当然ボトムブッシュと合わせてトップブッシュも交換した方が、より大きな変化はある。
が、elos自体がWBが短いミニクルーザーでスピードがかなり出る訳でも無く、大きな負荷がかかるライディングでは無い為、ボトムブッシュのみで十分性能の変化を楽しめる。
フロントトラックは、より左右に振るカービング性能を高めたいのでバレルからコーンに。
僕の体重が約65kg、この重さのライダーにはミディアム程度の硬さとなるデュロメーター87Aをチョイス。
緩い足回りにする為にキングピンナットをそこまで締めないので、他ブランドで言うと85Aぐらいのイメージになる。
あとはワッシャーのチョイス。
基本的には、より深いカービングと少ないリバウンド性能を求めるならフラットワッシャー。
逆に、センタリング性能(センターに戻る力、つまりボードが水平状態に戻る力)やリバウンド性能を高めたい場合は、カップワッシャーと組み合わせると良いです。
不安定になり過ぎない程度で極力緩いフロントトラックにセットして、ガンガンパンプした際にブッシュの反発を加速させる為カップワッシャーを今回は選択。
ブッシュの種類や組み合わせと同じぐらい、実はワッシャーの選択も超重要です。
ロングボードなどWBが長くなったり、体重が思いライダーやダウンヒルなど負荷がボードにかかればかかる程、ブッシュのセットアップが同じでもワッシャー選択で全く別の性能のボードになります。
トリック用のスケートボードばかりが人気のせいか、多くの日本人スケーターが全く重要性を知らないので、この辺りもまた機会があれば別記事で解説したいと思います。
こちらが変更後のフロントトラック。
以前別の記事で、自作シリコンショックパッドとアングルライザーパッドを装着し、角度と高さを出す事でパンピングし易くなるセットアップについても解説したので貼っておきます。
続いてリアトラック。
チョイスしたのは、96Aのストリートバレル。
リーンした際のレバレッジを高めつつトラックのキレを少なくする為、アングルライザーパッドで角度を浅くセットしてます。
元々RKPトラック自体が良くキレてカーブする構造上、どんなに角度を浅く調整してブッシュを硬くし、キングピンを固く締めても、多少はキレてしまう。
キングピンの締め過ぎは、ピン折れやブッシュの劣化に繋がるので要注意。
因みにリップタイド製の、特にバレル系ブッシュに付属してくるカップワッシャーは非常に堅牢な作りである。
分厚くてかなりセンタリング性能は高い。
ブッシュ交換まとめ
イロスのリバースキングピンについてくる純正ブッシュを、反発性が強いラインナップを多く取り揃えるRIPTIDE(リップタイド)のブッシュに交換し、パンピングが劇的にし易くなった。
ブッシュ交換をする事でパンピング性能を高める為には・・・
- 反発性があるブッシュを使用する
- 自分の体重とライディングスタイルに合った硬さにする
- フロントトラックは柔らかいブッシュ、リアトラックはフロントのブッシュよりも固い物でセットアップ
また、リーンした際のリバレッジを高める為に、必要に応じてライザーでトラックに高さを出すと良いでしょう。
高さを出す事でブッシュへの負担を大きくし、ブッシュの性能を最大限に引き出す事が可能です。
こうしてウィールとブッシュ交換をしたelos light weightは、スムースなアスファルト面であればガンガンパンピングして進む事が出来るようになりました。
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